2018年4月5日木曜日

「伝説シリーズ」最"終"巻『悲終伝』の感想

少し前に(といっても三月ですが、)
僕の大好きな作家西尾維新の「悲終伝ひじゅうでん」が発売されました。

発売日に買ったのですが忙しいのと分厚いので、







紙幅がこんなにあるんですよ、、笑



読み終わるのに三日かかりました。(笑)




いや~面白かったですね!そんな「悲終伝」の感想を書きましたので良ければ読んでいってください!!

まず最初にちょっと作家の紹介、あらすじの説明をしておきます!


西尾維新:小説家、漫画原作者。メフィストで小説家デビュー。
現在作家業15周年を記念して「西尾維新大辞展」という企画が去年から全国各地で開催されている。

たぶん一番有名なのは「物語シリーズ」じゃないですかね??
アニメも長いし「君の知らない物語」もアニメ知らない人でも知ってますよね!

アニメ化してる作品で言えば「刀語」もわりと有名で、他には漫画の原作者としても活動しており「めだかボックス」はジャンプ読んでた人ならけっこう知ってるはずです。
みてわかるとおり多筆家、速筆家でかずかずの小説をなみなみならぬ速度で書いています(笑)


僕はこの西尾維新が大好きで一応本として売られているものは全作品読んでいるのですが
そのなかでこの「伝説シリーズ」というものは『西尾維新史上、最長巨編』と銘うたれているほど分厚いのです。笑
506ページだよ笑、ヤヴァイ。。





あらすじ
人類を抹殺せんとする「地球」と、それを阻止しようとする人々の戦いをテーマにした長編小説。
「大いなる悲鳴」と呼ばれる「地球」が起こした大災害により人類の3分の1が死に絶えた世界を舞台に、科学や魔法を用いて「地球」へ対抗しようとする人々の姿が描かれる。
                       ----niconico大百科より引用


http://dic.nicovideo.jp/a/%E4%BC%9D%E8%AA%AC%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA ←リンクは貼るけどネタバレばっかだからできれば読まないで!



本のうしろの内容紹介から引用すると、
彼の名は空々空そらからくう
どこにでもいない十三歳の少年。
風変わりな少女、剣藤犬个けんどうけんか。が現れたとき、
日常かもしれなかった彼の何かは終わりを告げた。
ひどく壮大で、途轍もなく荒唐無稽で、
しかし意外とよく聞く物語は、
そんな終わりを合図に幕を開ける。
人類を救うために巨悪に立ち向かう英雄は、
果たして死ぬまで戦うことができるのか!?


と、感情の無い主人公の少年、「空々空そらからくう」をメインに「地球」との戦いを描いた作品となっています。

http://kodansha-novels.jp/1302/nisioisin/index.html


この公式サイトで見ていただければわかると思うのですがまず表紙がくそかっこいいんですよね……

唐突になりますが、西尾作品の中では「戯言シリーズ」や「人間シリーズ」などでは各話の冒頭に0章というものが存在していて「名言」や「格言」が大好きな西尾維新が自分で考えた一文が載っているんです。これがほんとにかっこいいんですよ!
そしてこの「伝説シリーズ」も同じく0章がある構成になっておりその一文や作中に登場したキャラ名、キーワードなどをあしらった表紙となっているんです!(ここで表紙がかっこいいに繋がります笑)

これが伝説シリーズ一作目「悲鳴伝」の表紙なんですがめっっちゃかっこよくないですか!?!?

生きることは戦いだ。
戦いである以上、当然、負けることもある。

普通に聞いてもかっこいいけどこれが作品を読むとさらにかっこよくなるんですよね……

しかもこれまで装丁は今言ったように文字をかたどった感じでシリーズ全て統一されていたのですが今回の最終巻だけは一切ないんですよね、、それがまたイかしてるんですよ。。
最終巻だけ今までと違う。。

ちなみに絵は一切ありません。ですので僕の脳内ではキャラの声と顔が完全にできあがってます(笑)
そのせいで漫画化もされているのですが手を出せずにいます。。うぅ…読みたいんだけどな、、

もうひとつちなみに作者は「最初はシリーズ化しようと思っていなかった」ので一作目「悲鳴伝」だけを読んでも十分楽しめると思います。とりあえず読んでみてほしいです!!

前置きが長くなりました(笑)
ここから感想になりますが基本的に読んだ人向けです。
ネタバレが嫌な方、あらすじで興味が湧いた方は読まずに!!
是非購入してみてご自分で読んでから目を通していただけると嬉しいです!
「一生読まねぇよ。」って方は逆に感想を読んで少しでも面白そうだなとおもっていただければ幸いです。

///////////////////////////////////////////////////////感想はここから///////////////////////////////////////////////////////

背開き。
いきなり「ありがとう。」て。きっつ。

感情が死んでいて一巻では感謝の言葉を述べない子と表現されており
二巻ではあることをきっかけにどんなことでも軽々しく「ありがとう」っていう子に
空々空はなってしまったんですね。

「ありがとう」

はこの作品ですごく大きな位置を占めているんです。


内容は全14話です。
この伝説シリーズは各話にタイトルがあってどれもアニメのタイトルみたいで面白いのでそれ込みで感想を書いていきまーす。一応各話の概要も書いてます。


第1話 「英雄対地球!最後の対決」

 光あるところにあるのは、光。

前作では、「悲衛伝ひえいでん)」の続きではなく、地上に残された組の話であったが、また今作では戻って人工衛星「悲衛ひえい」内での話。

前々作「悲衛伝」では星々と対談を行い、なんとか同盟だりなんだりを結んできたなかで突如現れた地球に星々が一網打尽にされたところで終わっていたがそのまんまつづき。

これまで星々と交渉してきた空々に、たったいま「小さき悲鳴」で太陽系の星たちを殺した「地球」は
『僕と交渉してみるかい?』
と尋ねる……が、感情が死んでいる空々。すかさず擬人化状態の地球の、切り札にして、ジョーカー「悲鳴」を封じるために、喉を封じるために、とっさに「地球」の首を絞めにかかる。



……ほんと「行動力の化身」(笑)
前々作で「地球」があれだけ絶望的な状況にしておいて前作「悲球伝」ではほぼ全く触れない。「伝説シリーズ」後半作にありがちな「会話・思考がメインで実際何も進んでない」状態だったのでどうなるかwkwkだったんですけどそういう行動をとるのね、さすがね。

ここで大事な描写があって

その即断即決が英雄的振る舞いだとするならば、ここで怒りに任せて感情的に殴りかからないあたりが空々少年である。ーー怒りはもとより、感情などない。

と書かれています。空々空には感情がない。はずだったんですよね。
しかし、「地球」の首を絞め、このまま絞め殺して決着がつくはずだったのに、
「え、一話で決着!?」ってなるはずだったのに、空々は「地球」の首を絞めきれない。
いままで首を絞め殺したことは空々の人生で「剣藤犬个」ただひとり……。
抱きしめた。抱き絞めたときのことがトラウマになっている・・・・・・・・・・

結局、人工衛星「悲衛」(ふつうに宇宙船)の大きな揺れ(周回軌道から外れる)によって首を離してしまい「地球」を倒す千載一遇のチャンスを失った空々。しかし「地球」に与えたダメージは大きく
「地球で待っている」
と「地球」に言わせ撤退させることに成功する。

なんか「地球」がゲシュタルト崩壊してくる笑
一話では地球の襲撃への対処と空々空の感情の獲得が描かれています。
まだ本人もうまくわかっていないようですが。。
これがけっこう大きなことで9作で積み重ねてきた空々の無感情が薄れている描写が今後もでてくるんですね。なんかそれだけ犬个さんのことが空々で大きくなってると考えるとちょっと嬉しいですね。(諸説あり)


第2話 「生死の狭間!宇宙の果てへの旅路」

 最強の矛と最強の盾を売っている商人を論破するのは、あまりに恐れ知らずである。

たしかに、(笑)
故事での商人は矛で突かれなかったんですかね笑。

地濃ちのうのもつマルチステッキ「リビングデッド」で太陽系の星々を生き返らせようとする空々達。灯籠木とうろぎのコスチュームも用いて生き返りを試すもなかなかうまくはいかない。
そんななか、「月」、「ブルーム」だけは地濃のとの相性もあり、奇跡的に息を吹き返す。。---が、灯籠木のコスチュームは反動で犠牲になり、破けてしまう。

いやぁ、地濃さんだけが癒しですわww
こんだけ清々しいほどクズじゃあ西尾維新が自分のキャラを好きになるわけだよ笑
(出典:西尾維新大辞展での展示)
クズキャラって自由度が高いんですよね、なにしても許されるというか(笑)

シリアス展開の中でひとり空気読まないやつがいればそれだけで場が和みますね、空々くんたちにしてみればたまったもんじゃないと思いますが(笑)


個人的に今まで最強天才キャラだった灯籠木がコスチュームが破れたことにより自信を喪失してしまうのは意外で好感度が上がりました。
四国キャラって杵槻鋼矢きねつきこうやさんが強すぎて「白夜」はひとかたまりで憶えちゃってる感があったのですが、最終巻ですこし灯籠木のことをわかったような気がしました。

蘇生した「ブルーム」は自分が「地球」の衛星として意図せず「地球」の益となることをしてしまったことを自覚。
せめてもと、周回軌道からはなれてしまった「悲衛」を重力で引っ張り「月」へと不時着させる。

いままで出てきた「地球陣」がいい感じの伏線に。「悲衛伝」で「月」がでてきたときに『「地球」の衛星だからもしや敵なのでは・・・?』と思った読者はどれくらい要るんだろう?まあ敵とはちょっと違うんだけども。


第3話 「月面サバイバル!緊急人間会議」

 幸せになったからと言って不幸でなくなるわけではないし、不幸だからと言って幸せになれないわけでもない。

月に不時着した空々達は地球に帰る方法について全員で会議をする
(役立たずな天才二人、愚か者地濃も含めて)。
会議の中、いままで日本語を話せないと思われていたロシアの魔法少女「トゥシューズ・ミュール」が流暢な日本語で「ブルーム」に対する注意を述べはじめる。
この章は比較的紙幅もすくなめ、まあ話してるだけだし。

「伝説シリーズ」はどの巻もどの話数も「起承転結」の「結」がしっかりしてるんですよね、結ぶだけじゃなくて次の話が気になる終わり方、「起」も据えて各話をしめくくるというか。
ロシアン魔法少女が言う「人工衛星が月に不時着したことさえも地球の利益につながる現象かもしれない」という終わり方は『またこっからひっくりかえるのかよ!』って思わせるには十分で、話の展開がこうなってくると、この章の0章もなんだか意味深に聞こえます。宇宙を流されなくなったからと言って現状が良いわけでもないし・・・。


第4話 「『魔女』の慰め!戦後のミーティング」

 それはコンセントの形状を今からすべて変えようというのと同じくらいの無茶だ。

ロシアン魔法少女からの指摘があったところで第一回生き残り会議はお開き。
空々は「先見性」というチート能力をもつ『魔女』酒々井しすいかんづめと先ほどの意見について対話を交わし、現在所有している魔法でどうにか帰れないかを勘案する。


西尾作品はパロディやほかの小説などからの引用が多いのが特徴でそのせいで(おかげで)僕も法則・規則・哲学が好きな人間になってしまったわけですが、ここでも人工衛星内での現状を揶揄して「冷たい方程式」が出てきます。

恥ずかしながら不勉強で読んだことはないのですが「SF界で最も重要な一作」と呼ばれているらしく「限られた食料、限られた酸素に対して人間が大すぎる」ことを問題としたSF小説だそうです。

今度絶対読みます。SFってかっこいい名前おおすぎですよね。
「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」とか「たったひとつの冴えたやりかた」とか。
もうあらすじ知っちゃったからないですけど「冷たい方程式」って読んだあとタイトル見返すと絶対ゾクってするやつじゃん(笑)

案がまとまり、氷上に精査してもらいに行こうとしたところでチーム「白夜」の魔法少女水藤すいとうが空々のもとへ訪れる。四国ゲームを管理していた側である魔法少女は四国ゲーム内で命を落としたロシアン魔法少女の妹「パドドゥ・ミュール」について語る。
水藤さんはチーム「白夜」で唯一のばりばり方言女子なのでインパクト強いです。すぐ覚えられました。
ちゃっかり天才ズの中でひとり株をおとさずここまできてますし実は一番有能??


とか思ってたら次々章ですぐ裏切られました(笑)
信じられるのはやっぱ鋼矢さんだけだ……。

第5話 「天才級の美意識!回想の四国ゲーム」

 多数決をとれるほどの人数がいない。

いやあ、これほど的を射てるものはないわ、世の中そうなんだもん笑
多数決というとデカルトの言葉や「めだかボックス」で中学生組が会長選立候補時の演説で言っていた「多数決は話し合うことの放棄」といったものを思い出します。
これは僕の中でのめだかボックス名言にカウントされていてこの考えが小学校の時にあれば、、と思います。そんな小学生嫌ですけど(笑)


空々のもとを訪れた水藤は、四国ゲームでの四つのチームの一つ、「ウィンター」には治癒・治療系の魔法少女が集中していることを推測の足場として「パドドゥ・ミュール」含め、チーム「ウィンター」の魔法少女たちが生きているかもしれないという考えを空々に伝える。


……いや、これ以上魔法少女増やすの?笑
実は生きてましたとかやめてくれよ、もう十分現状はややこしいんだよ!

って一人うなってました笑。
でもここでチーム「ウィンター」に治癒・治療系を集めていたことや、
「悲亡伝」で『人間王国』に水藤と空々が行ったことが繋がってくるあたりほんと凄いと思った。
あとから読み返して拾ってくるのかな、『バクマン。』でいう「一話完結じゃない一話完結」みたいに。だとしてもすごいわ。

水藤の『土』を操る魔法が四国ゲームでは、地面全般を操っていたことを思い出した空々は石でも動かせる、という水藤の言を受けて「月を魔法で動かして宇宙船は月に不時着させたまま地球に帰ればいい」という驚愕のアイディアを思いつく。
解決案、出ちゃった。



解決案、出ちゃった。じゃねぇよ(笑)。なんで残り3ページで話がそんなに急転直下を迎えるのか(笑)
まあいままでもそんな感じだったけどね、

「悲痛伝」でも最後数ページでいままで魔法少女殺しまわってた「コラーゲン」がオドオド魔法少女「ストローク」に殺されるんだもん。

つくづく文章の使い方が理解できん笑(褒め言葉)


第6話 「月曜朝の語呂合わせ!示し合わせた計画」

 一ミリメートルと十ミリメートルを間違えるよりも、一ミリメートルと一センチメートルを間違える方が悲惨だ。


ちょっとこの0章はよくわからんかった。同じことでも表し方次第で重大なミスになってしまうみたいなことが言いたかったのかな、なんかニュアンス違うような気がする。
この文見た他の人がどう感じたかも知りたい。

驚天動地の計画に気分屋の水藤は難色を示す。空々は説得を続け、最終的に水藤のマルチステッキ「マンデーモーニングクォーターバック」を引き合いに出して説得に成功する。
帰還プランの協力者を探し、星々に行っていた空々の交渉劇は人間相手に移行していく。
おい、水藤!あがった株を気分屋属性ですぐさげんのやめろ!!
ここらへんでなんとなく展開が読めましたね、

「あ、これ一話にひとり説得していくやつだ、話まったくすすまないやつだ」

ほんとそのパターン多い、おもしろいんだけどもうちょいサクサク進めてもっといろんなシーンがみたかったっていうのが正直なところです。
ここで次に説得に行くのが地濃ってのが面白いです。しかもかんづめちゃんの

「ちのうにつたえてくれ、しねと。」

って、、辛辣すぎるわw
艦内で一番働いてる(マルチステッキで半死半生の星々を生き返らせ続けている)人に対していくら地濃だからってね?空々くんも

「いくらなんでも伝えられないでしょ、この状況でそんな台詞を。」

と言うよそりゃあ。

「死ねって言われてたよ。」

っっ!伝えるんかい!(笑)章またいでそんなことしないで(笑)
ほんと地濃の扱い方雑だわ。笑
まあ、いままでに感情の無い空々にイライラという感情らしきものを覚えさせることに成功していることを考えるとこんな扱いでいいのかも、
犬个さん思いだして初めて感情が……って美談がこいつのせいで台無しだよ。

そんなクズであることがとどまることを知らない地濃さんに空々くんは地濃の元チームメイト「ウィンター」のみんなが生きているかもしれないということを伝えます。

すると地濃は、

「ついにその話をするときがきましたか。」
「実はチームメイトの四人が死んだというのは私がついた嘘でしてね。爆死していないどころかいまもきっとどこかで生きていると思いますよ。私はそう信じています。この件に本人達の性格はあんまり関係ありません。だって、私が逃がしてあげたんですから。」

はあ、、、


ほんとにお前はいいかげんにしろよ!!!!!!


第7話 「道化尋問!嘘と命と冬と嘘」

 無条件という条件が、もっとも厳しい。

これはよく思いますね。「適当にやっといて~」ってお前一番適当が難しいんだからな??ってよく憤慨したくなります。

「さて……と、何から話したものでしょうね」
「あと一ミリでも大物ぶったら、地濃さん、君の首を絞めて殺すからね」

やめて!空々くん犬个さんとの思い出を大切にして!汚さないで!!

地濃の話では、チーム「ウィンター」はもともと『ロシアの対地球組織「道徳啓蒙局どうとくけいもうきょく」との協力』という特務を帯びていた。「道徳啓蒙局」は
・「絶対平和ぜったいへいわリーグ」と協力してでも生き返らせたかった対象がいたこと。
・それが『人間王国』の現王様、「人間王」だということ。
・実は「人間王」がかつて地球との戦争に敗れた火星の擬人化
だということを空々は知る。

ここで「悲球伝」での地球居残り組はわかっていた、いわゆる神の視点で読んでる僕らだから知っていた情報が空々くんたちにも共有されます。あいかわらずクズのくせして重要な立ち位置にるんだな、お前は、、、
まあ居残り組の魔法少女、鋼矢さんじゃないほうの魔法少女、オドオド魔法少女「ストローク」もわりとどうでもいい立ち位置なのに重要なとこに絡んでくるので西尾維新の中で「どうでもいいやつを重要なポストに置く」っていう考えがあるのかもしれないです。

「人間王」、火星の復活に一役買ったチーム「ウィンター」だが、その蘇生は完全なものではなく(その当時地濃は不在)、その後もヒーリングチームとして「絶対平和リーグ」にありつづけた。
その後四国ゲームが始まり「パドドゥ・ミュール」を始めとした地濃以外のチーム「ウィンター」は「道徳啓蒙局」へ向けて脱出を行った。

また、ここでもみんなにチーム「ウィンター」が死んだということを伝えるという大役を担っている地濃。ていうか体よく追い払われただけでは、、、

少しかわいそうにもなります。いや、ならないけど。
口の堅さは駆逐艦ってこれもうわかんねぇな状態だし…笑。

そんなこんなで次に空々プランを披露する人物にロシアン魔法少女「トゥシューズ・ミュール」を選んだ空々空。(氷上さん完全においていかれてます)
トゥシューズに会い、妹が生きているかもしれないという情報を伝えます。
するとトゥシューズは、

「生きていますよ、妹は」
「だって、わたしがその妹ですもの」

………これもうわかんねぇな。


第8話 「暗躍のエージェント!ロシア少女の変身」

 発言権を持つ頃には発言する意味がなくなっている。

社会にでれば痛感するのでしょうか??こわいな……

「道徳啓蒙局」独自の魔法「成長」で姉になり変わっていた「トゥシューズ・ミュール」あらため、「パドドゥ・ミュール」。驚きの告白を皮切りに、
・かつて空々が死に追いやった地球撲滅軍第九機動室元室長「牡蠣垣閂かきがきかんぬき」が『人間王国』で生きていること。
・チーム「ウィンター」も同じく生き返って『人間王国』にいることなど、新情報を聞かされる。
対して空々は、パドドゥに地球に帰るための空々プランをプレゼンする。

ここでまた、「悲球伝」で僕ら読者にはわかっていた牡蠣垣閂が出てきます。

コードネーム「茶飲み話」。

これなぁ……、犬个さんが決別したときも熱かったし、
悲痛伝ひつうでん」でいきなり空々くんが牡蠣垣の役職である「第九機動室室長」を名乗ったときも

「え!?茶飲み話は??」

ってなったし、牡蠣垣は死んだって出たときも

「ふぁぇ!?」

ってなったものだけど、生きてるってってわかったときはまたしても

「ふぁえっ!?」

ってなりましたね……。

牡蠣垣が追い出されたときの話とか見てみたいなぁーー。


ただ、牡蠣垣閂あまり話に絡んでこないんですよね、
牡蠣垣が妨害してくるでも、協力するでもいいから話に絡ませてほしかったなというのはあります。

まあ分量的に無理だったんでしょうね、西尾維新だとたぶんそれだけでまた一冊かけちゃうし、
さすがに十一は区切りが悪いですからね、1~10までの流れが一番きれいなのでそこは我慢します。。いつか番外編でぜひ……。


ロシアン魔法少女からの意見で月には地球以外に火星の成分も混ざってる、
ということが出てきますがいいですよね、こういう史実の諸説ある中のひとつを採用して物語に昇華する系。

月は隕石と地球がぶつかった際の破片でできた(ジャイアントインパクト)

その隕石が火星だった説を使い月は火星側でもあったっていうのはなかなか熱い。



……でも「ブルーム」さんの立場どんどんとんでもないとこにいくなあ笑
他の星々も「悲衛伝」以降死んだきりなのでどっかで出番あればいいなあ…番外編とか|д゚)チラッ


なんだかキャラをうまいこと殺してうまいこと転がしていたのは春秋戦争までだった気がします。

後半は既存キャラで立ち回るから最初より軽々しく殺せなかったしね。


うんシリーズものは難しい。あらためて「戯言シリーズ」はすごいと思う。ばんばん殺すし、萌えキャラ殺しは恐ろしいぜ、みここたん。。


第9話 「クールビューティーのクールダウン!空々プランの完成」

 レールの上を走る人生が凡庸に思えるのは電車に乗っている場合であって、自分の足で走る場合、その人生はただの自殺行為だ。

自分が凡庸凡庸って思えるのは電車に乗ってぬくぬくできているからであって、レールの上を自分の足で走ってる場合はそれは自殺行為にも等しいよっていう。
これ自分がどちらなのかを自覚することがすごく大事な気がします。あと走ってるのに凡庸だと思ってる人が一番ヤベーー。

空々の思い付きレベルだった月ごと地球へ帰還する「空々プラン」は難点だった部分をパドドゥが解決していくことで次第に現実味を帯び始める。
最後にプランの最終チェックを求めて氷上ひがみ虎杖浜こじょうはま、灯籠木の下へと向かう。
「空々プラン」含め知りえた情報を開示していく空々。そして話題はプランで一番重要な位置を占める水藤、地球上での居残り組に移る。


一話ずつ、すこしずつ、プランが出来上がっていきます。ここでも問題は気分屋で独特の美意識を持つ魔法少女水藤(笑)

地球への帰還チャンスは一度きり。

理由は軌道を外れて一回でうまくいかなかった場合、
それは水藤の美意識に反してしまい彼女がやる気をなくしてしまうから。。




……もう癖が強い。(笑)
一応、彼女も「絶対平和リーグ」に「地球」への敵意は植え付けられているのだからそのまま諦める選択をするとは思わないんだけどなあ、

でもきっとその美意識を貫くからこそ彼女は強いんでしょうね。
そういえば第5話で水藤が意外と常識人なのかもと空々くんが思った際に、彼は

(僕の周囲では、常識のある人ほど死にやすい。)

と考えていますが、水藤さん生き残ってますね、なぜでしょう?その後常識がないことが判明したからでしょうか??


そう考えるとやっぱり常識人で生き残ってる鋼矢さんはさすがだと思います。

いまはフラグたてすぎて逆に絶対死なないと安心できますけど
「悲惨伝」のときはいつ死んじゃうのかハラハラでしたからね~。

犬个さん亡きあと鋼矢さん推し推しだったので(´・ω・`)



第10話 「科学者への直談判!そして反転へ」

 いいか、お前の代わりなどいくらでもいるんだーーつまりお前は、何者にでもなれるんだ。

西尾維新の真骨頂。もともとある言葉をこんな風に良い風、悪い風に捉えるのがすごくうまいです。"ゴキブリ並みの生命力?丸めた新聞紙で叩けば死ぬってことか?"は名言中の名言。

『土』の魔法少女、水藤の補助を『風』の魔法少女、虎杖浜と『水』の魔法少女(のコスを着た27歳)氷上で行うことで完成した空々プランは、艦長である左右左危ひだりうさぎ博士の
「月が地球までの距離を半分も詰めないうちに地球への影響で人類は滅ぶ」
という致命的な穴をつく言葉であっけなく却下される。

おいおいおい、いままでのはなんだったんだよぉ!

200ページくらいかかっていたことが無に帰しました(笑)



まあ「伝説シリーズ」ぽくはある。
そいえばここで珍しく、空々の短期間だけ師であった右左危博士の娘、左在存ひだりざいぞんの話が出ます。

「悲鳴伝」で最速で死んだ在存だけどけっこう空々君の中では大きな存在になっているので(ややこしい)このシーンはなかなか良かったです。

相手が右左危博士でなければ。お前自分の娘を実験体に使っておいて感傷的になってんじゃねぇよ。


不発に終わってしまった空々プランの謝罪行脚に出向く空々空。それも終わった数日後、地濃が月、「ブルーム」の様子がおかしいと話しかけてくる。どうやら「ブルーム」は『私は、手袋鵬喜てぶくろほうきだ、空々空をよんでくれ』と言っているらしく……。

ここで再度居残り組の話が。ていうかここで「悲球伝」の最後とつながります。火星の擬人化「人間王」の魔法で通信を行う手袋。重要な位置に来ましたね~~。てかこの後からタイトルどおり反転しまくり、てんやわんやです。

第11話 「伝わる言葉!まさかのメッセンジャーは」

 あなたの子女がそうしている以上に、私はあなたを頼っている。

手袋は「人間王」、火星の魔法、『遠見性』によって空々との通信を可能にした。
手袋を使ってこちらを探ってくる火星に対し情報を漏らさないように慎重に通信を行う空々だったが、何も知らない手袋からはあまり情報を得られない。
しかも手袋の
「空々くん。あれ、宇宙に持って行ってる? 四国ゲームの優勝賞品……、『なんとか丸』っていう刀をマルチステッキにした奴ーー」
という言葉を最後に通信が途切れてしまう。
良いように使われている手袋とどの情報を伝えるべきか推敲している空々の背後でべらべらしゃべりまくる地濃が面白かったです。
女子絶対堕とすマンである阿良々木くんでも対処できないわけだよ()


ここで『破壊丸』が絡んでくるのにはびっくりしました。

というか完全に『破壊丸はかいまる』を元にしてたこと忘れてたw

そこ拾ってくんのなぁ、

まあ空々くんも宇宙船にもってきたはいいけどどこにあるか忘れてるからそれくらいには物語に今まで絡んでこなかった(笑)



忘れがちだけど空々くん『魔人』になろうとしてるもんね(笑)


第12話 「決めるべき終局!地球へ一直線」

 勝負が成立する時点で対等であるーー勝負の大半は、エネルギーの交換なのだから。

「地球に向けて月が動いているーー」という水藤の報告により再度ミーティングを行う空々達。
先ほどまで月を動かそうと考えていたプランを逆ベクトルで採用し、三つの魔法を用いてなんとかくい止める。
『破壊丸』というキーワードを手袋が漏らしたことによって、火星が月を地球に落そうとしていることは明白だが、理由がわからない空々達は『人間王国』の内情を知るため杵槻鋼矢とおそらく一緒に行動しているだろう人造人間「悲恋ひれん」に連絡を取る。


鋼矢さんも絡んできたーー!!いよいよクライマックス感ある。


それにしても『生き残りの達人』はやっぱ考え方が違いますね。「このまま月を地球に墜落させてしまうのありだと考えているのよ」って。

ほんと反転しまくりです。

第13話 「チーム再結成!感傷の三人組」

 思い通りにはならないと思っていれば、そう思った通りになる。

魔法でさらに加速させて月を地球に衝突。さらにその際に生じる「ジャイアントインパクト」で「もうひとつの地球」を作る。

移住に必要な宇宙船、地球がもうひとつできあがるためのぶつかりかたの軌道計算はすでに地球側で終了している。
一番の問題点である衝突時の「人類の死」は死んだあと空々達が新しい地球でマルチステッキ「リビングデッド」を使い、蘇らせるーーというのが杵槻鋼矢が考えた「このまま月を地球へ墜落させる」プランだった。
このプランを検討しようと通信を終えようとした空々に鋼矢は「せっかくだから」と花屋と喋ることを提案する。


…というか「悲恋」の人格が花屋瀟はなやしょうって最初でたときびっくりしたよね。死んだのにちゃっかり約一巻分は活躍してるし。

親友を殺したあとでも罪悪感なく接せる空々と特にそのことに対して文句を抱かない花屋(人格プログラムだけど)は同じ野球部だったとき確かに親友だったんだろうなと思います。



章終わりの花屋の台詞とかもういろいろこの第13話はヤヴァイ。。

「お前が地球をくびり殺し損なったのって、やっぱり犬个さんを殺したときのことを、思いだしちゃったからなの?」
「ああ、違うよね……、やっぱりこれを問うのは私じゃないよね」
と別の人格プログラムに変わろうとする花屋。





「もしもし、そらからくん」
「私がわかるかな、覚えてるかな?」





はい。感動。
もうこのシーンのためだけにこの本はあったといっても過言ではない。
まじ犬个さん懐かしすぎる。ずっと悲鳴伝の時間が続いてほしかった……。
タイトルのチーム再結成ってそういうことかよ、泣けすぎるんだけど…。めっちゃ時間かかるけど「悲鳴伝」読み返そ、、犬个さんロス。。
もう最高よね。一言一言に感動するわ、まあ本来絶対聞けないはずの死んだ人の言葉だからっていうのもあるだろうけど。









「地球を殺す以外の方法でだって、そらからくんはきっと人類を救えるよ。」
「私の『破壊丸』を、大事にしてくれてありがとう」

第14話 「英雄対地球!最後の対話」

 戦争はいつか終わる。
 平和が始まるとは限らないけれど。

火星の成分が含まれているから、火星と通信できるというのなら、月が地球の一部だというのなら。
『「ブルーム」を通じて地球との対話が、可能じゃないかと思うんです』
地球を殺せなくても、人類は救える。

「ブルーム」を介してもう一度「地球」と対面した空々。
地球に対して「もう一度『大いなる悲鳴』で人類を皆殺しにしてください」と一年前に地球がした「約束」を果たしてもらおうとする。

ここ、第13話につづく盛り上がりです。

いままで『大いなる悲鳴』で人口問題が解決したという見方もできる。

といった話がでてましたが地球が本文から用いると「実はいいやつ」だったっていう真相(空々の考え)?は

「え?いままでの戦いなんだったの??」

って感じに一瞬なったけど違うんですよね。


「戦争が文明を発達させる」という言のとおり、「地球」は自分という敵を人類に作り進化を助けていたわけです。

それがなければ「科学」もここまで発達しなかったっていうのはすごい上手い繋がり方だし、ちゃんと『大いなる悲鳴』が人間にのみ効く理由や「金星」が「地球」に教えた。という部分も拾っていてほんとに綺麗な終わり方するなあと思いました。



しかも一年前、「悲鳴伝」で「地球」が空々くんに「次の大いなる悲鳴は一年後だ」と言っていた伏線をここで使う!

しかしかも空々くんが「悲鳴」を要求するっていう反転した構造がほんとすごい。


鋼矢さんのプランでは死体に損傷が起きてしまう
(損傷がある場合生き返ってもその部分は治らない)。
月の接近によるパニックが解決されていませんでしたが
(「必要な犠牲」ということで目を瞑った)
これだとその心配もない。


ほんと全部綺麗にこの巻で問題になってきたことを解決していく、ほんとすごいわ。



最後に、いままで自分のやっとめばえた感情が追いついていなかった空々が、やっと


「これが、感情か」


ってなるとこも、



章の終わりで「悲鳴伝」の冒頭をなぞるように二度目の「大いなる悲鳴」が記されるのもなんだか感慨深いものがありました。


最終話 「悲鳴伝」


「この出だしあれだ、どこだっけ、なんかみたことある!あれだ!悲鳴伝で出てきた夢だ!!!」


ってなりました(雑)。




正直、この後日譚めいた部分はあれこれ語ることはないです。


強いて言うならなんで鋼矢さんと結婚してないのかってとこくらいですね。僕がもらっちゃったからでしょうか?

六年間続いたこの分厚いシリーズが終わるということを感じてほんと感無量です。

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悲終伝の感想を書きました。

まさかこんなに長くなるとは思いませんでした。
こんなに感想書くのに時間かかるとも思いませんでした。

びっくり。

また、番外編でいいから読みたい。


ひさしぶりによく日常系のアニメみてなってた「あ、もうこのアニメの続きが読めないんだ……」という胸にぽっかり穴があいた感覚を味わいました。シリーズものでなったのははじめてかも。最後に本でそうなったのは「君の膵臓を食べたい」かなあ…





こんな稚拙でくそ長い文章を最後まで読んでいただきありがとうございました!!!

僕はこれから他の人が書いた「伝説シリーズ」の感想を読んで空々くんの代わりに”共感”しに行きます!笑
ありがとう。

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