2020年3月20日金曜日

掟上今日子の読了録~設計図~



忘却探偵シリーズ第12作目!!



掟上今日子おきてがみきょうこの設計図』読みました~!



前作の感想

前作、『掟上今日子の乗車券』が2018年の10月5日ってマジですか……??

もう約二年前も経ってるじゃん……大学院ならもう卒業してるよ……

西尾維新の作品は巻末に次回作のタイトルが書いてあることが多いんです。

んで、前作、なんなら前々作から次回作は『掟上今日子の五線譜』って言われてたんですけど今回も別の書籍が出ちゃいましたね(笑)

書きたいことたくさんなのは読者としては嬉しい限り!



公式サイト↓
http://kodansha-novels.jp/2003/nisioisin/


さて、ネタバレ含みつつのちょっとした感想を書いていきたいと思います。

前回が短編だったのにたいし今回は長編。

煽り文とあらすじはこのようになっております。



残り9時間! 仕掛けられた爆弾はどこに?
今日子さんと爆破予告犯との頭脳戦開始!


學藝員9010がくげいいん9010』と称する人物が、ウェブ上に爆破予告動画を投稿した。猶予は9時間。火薬探知犬と盲導犬を左右に司る爆弾処理犯のエース、『両犬あざな』こと扉井とびらいあざなが捜査を進める中、容疑者となった隠館厄介かくしだてやくすけの依頼により、忘却探偵・掟上今日子も参戦するが――。



この爆破予告動画、まずひとつ建物を爆破して「次はこの建物だ」って感じの動画なんですが、出てくる爆破された建物はモータープール、いわゆる駐車場。

「モータープール」って単語最近物語シリーズでもでてきたな~ってのと「モータープール」って単語考えた人すごいなっていう感想。笑。


「車がプールみたくたくさんいる」でモータープールって名前つける人のセンス計り知れないでしょ……


って思ったら調べてみたら「資金をプールする」とかのプールの意味で「モーター(自動車)プール(蓄える)らしい。ためになりました。それでもそんな名前つけるのすごいけど笑


そしてこの爆破予告もYoutubeであろう動画サイトに投稿されるっていうのが現代的だなと。時代を感じるよね(笑)


まずは新しく登場した「優良ゆら警部」の人称視点で物語が始まる。

けっこう直上型の正義漢で旧態依然としてる人なイメージを持ちました。

忘却探偵シリーズは準?主人公である隠館厄介君の語りではなく今日子さんの周囲の警察が語り部となることも少なくないので、すわ今回もそうかと思ったけどそうではなく、

今作は

「優良警部」

「隠館厄介」

「扉井あざな」

「犯人」

の四人の視点で物語が進行していくようでした。




爆破に使われた車。でも監視カメラには怪しい人は映ってない。ってのでドライバーが犯人ってのはわかったかな。

んでそのドライバーが厄介君なのは予想できなかった笑。

僕も厄介君に冤罪被せてしまったわ笑



もう冤罪マスターって作中で呼ばれてるのわろた。


厄介(やくすけって読むよ)君は冤罪体質で様々な事件で犯人と疑われ、その防衛策として探偵に助けを求め続けてるんですがこの設定強いよね。探偵は何故次々と事件に合うのかってところを上手く説明する役というか。とにかく厄介君がいると話がスムーズ笑

厄介君は数多くの探偵の連絡先を知っているんですが

「爆破予告は9時間後」

という今回の事件の性質から「一日で記憶がリセットされる」がゆえに「一日で(最速で)事件を解決する(というか解決できる依頼しか受けない)」今日子さんに依頼。


まずは厄介君の冤罪を秒で晴らし、そのまま事件にかかわっていきます。





ここで犯人の視点。厄介君に冤罪がかかるのも計画通り、今日子さんが選ばれるのも計画通り、事件にかかわるのも計画通りということが読者には伝わる。


タイトルの設計図ってそういう意味ね。犯人が思い描く計画の「設計図」って感じか。





視点が厄介君に戻り、爆破が予告されていた建物。町村美術館に白バイで向かう厄介君と今日子さん。

時速150kmで向かうんですが(警察とは交渉済み)

スピード違反してる白バイ周りが見たら通報するよねw

ってのと

時速150kmわろた白バイそんなだせんの

って野暮なこと考えてました笑


美術館の館長の名前は町村市群町村市群まちむらしむれ

名前に意味があることが多い西尾維新の登場人物ですがこれは「市町村郡」からきてるのかな?「郡」だと「むれ」と読めないから「群」にしたって感じですかね?



扉井さんはあらすじで「盲導犬と」と触れられているように盲目(といっても完全な盲目ではないらしい)の女性爆発処理班。

彼女が美術館内を歩く描写があり、

読んではっとさせられたけど前衛的な美術館や建造物って目の見えない人からしたら相当バリアフリーがなってなかったりするのかなって感じさせられました…

誰でも利用できるって大事だよね…(左利きだと常々思う)


ここで今回の表紙の今日子さんの衣装は美術館近接のカフェだったことを理解。VOFANさんの絵はほんとにいいよね……




話は進み本の半分くらいでもう犯人とご対面。ご対面してすぐに今日子さんは眠らされます笑

「一日で記憶がリセットされる」というのは正確には「一度眠っちゃうと」だからなんですが、それにしても今日子さんを眠らせようとする犯人久しぶりな気がする笑

最近いたっけ?忘れちゃった。



犯人は扉井あざな。動機は掟上今日子への復讐。

警察署内の友人と繋がってるというある意味ちょいズルな設定も自信が関係者っていう設定で違和感無く上書きされました。

今までの今日子さんに確執のあった犯人たちとは違った視点で、「忘れられることを恨む」なるほどと納得しました。



と、思っていたらその動機さえもフェイク(割愛したけど犯人も作中二回でっち上げてます)でただの時間稼ぎ。

過去の今日子さんの忘れた時間に冤罪(犯罪ではないけど)を被らせる

嘘喰いの迷宮のゲーム思い出したわ。


何回も騙された。というか僕がした推理がそのフェイクまでしかたどり着けないことが多かった笑



そして今日子さんの怒りというか悲しみ。

「過去を忘れることと過去を改竄されることは違う」


重いね。。







そして最後に、またもう一つどんでん返しというか、途中納得したタイトルの「設計図」がまたひとつ意味合いを変えて訪れました。

「バリアフリー」、あざなさんが言っていた使いにくいって言っていた部分も伏線になってたとは。その時間列では犯人ではなかった扉井あざなの視点で述べられたことを伏線にして犯人の動機に組み込むってすごいね…




そして、今日子さんの

「今、なんと仰いました?」


きたーーー、定型句。ミステリーお決まりのセリフだけどこれを聞くと凄く昂るね!

しかも厄介君の素朴な言葉がキーワードになる+今の厄介君の宅配という職業さえもからめる。いやはや脱帽。




そして、これけっこうなネタバレなんですけど今日子さんの最後の

「良心にかける」は、「両親に賭ける」と「電話をかける」がかかってると思ったけど違ったわ笑


んでも終わり方がなんともスマートで綺麗。最高。

プラスの付記も蛇足にならずさらに心にストンときてくれる。

付記2もあったんですけど最高でした……やっぱハッピーエンド近くになれる話が僕は好きですね……



恒例西尾維新のあとがき

「どうせ忘れるなら我でなく怒りであってほしい」

これけっこう至言だな……





読了しての感想なんですが、

中盤から優良警部もそこまで堅物ではなくて「優しい」「良い」という漢字にもやっぱり意味があったんだなと。

あざなは「あざな」かな?

そして犯罪ってバレないようにするのよりも、バレても止められないものにするほうが頭いいなって思いました。

まあ現実で犯行おこす場合って捕まらないが大前提だし、そもそも犯罪予告なんてする事件あんまないけど笑



今回のクロスオーバー

『掟上今日子の旅行記で』でてきた「矍鑠かくしゃく伯爵」

伝説シリーズの主人公「空々空そらからくう


今回の知らなかった言葉


昵懇じっこん…親しい仲、間柄

希死念慮きしねんりょ…漠然と死にたいと願うこと





そして、忘却探偵シリーズが12作品目になったのも嬉しいね!やっぱ12というと刀語を思い出すね~!






特典の既刊表紙のカレンダーも嬉しいね!




なんかネタバレがんがんにあるのに大事なとこはしょったりしましたがまあ備忘録みたいなものなので…笑

次の今日子さんの活躍も楽しみです!

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